大切な宝物がひとつ増えました

とす日記

私は仕事で主にWEBなどを利用して情報を取り扱います。企業の中に属しておりますのでそれ以外の仕事も多々あるのですが、基本的な部署としてはそういう仕事をしております。

しかし、それまでは22歳からずっと接客業の現場ばかりに携わってまいりました。つまり店にスタッフとして立っていました。

店長やマネジャーとしての仕事も好きでしたが、やはり現場が好きで。アパレルにもおりましたもので昔から店内に入ってきた人をじっと見てお客様が欲しいものや好みをなんとなく頭の中で想像したりするのがどちらかというと得意でした。

そういった前職のスキルも見込んでいただいてか、今の職場でも忙しい時にはウエイターになったりスタッフになったりすることを容認していただけております。

 

私ひとりで居る時にある老夫婦がご来店

他のスタッフがお昼休憩にはいり店内には私一人の時の事です。ひと組の老夫婦がご来店になられました。他にはお客さんもおらずそのご夫婦だけの店内。

私はいつものようにメニューを渡し、お水とおしぼりを用意しにカウンターに戻ります。その時に男性(ご主人)が女性(奥様)にメニューを伝えてトイレに向かわれたようでした。

お水とおしぼりを用意した私は奥様のもとに向かいお水とおしぼりを渡していつものようにオーダーを聞きます。

その女性は手をグーにして机の上に置いたメニューの上を滑らせるようにしてコーヒーの付近を示されて

「ホットコーヒーを二つ」

と言われたのですが、声が小さくて聞き取りにくいし、手もグーなのでどこを指されているのかわかりませんでしたので聞き返しました。

すると女性はグーにしていた手を開き、指で指しながら

「ホットをおふたつ頂けますか?」

とお答えになられました。その時に私はわかりました。この奥様はお歳を召されているためか手が震えるのです。それが恥ずかしくて手をグーにして机の上を滑らせておられたのだと。。。

オーダーを復唱し私はメニューを下げてコーヒーを淹れに行きました。

 

私なりに考えた。。。

忙しい時にはとにかく早くお客様のオーダーに応えることしか考えられないのですが、この時は私とご夫婦だけ…。

どうしたら奥様が安心してコーヒーを召しあがれるのか…

いつものコーヒーカップにいつもの量で入れたら、奥様はもしかしたらこぼされるかもしれないとふと考えてしまいました。そこで私が思いついたのはおかわり作戦でした。

ご主人の方にはいつも通りの量を入れてお持ちしましたが、奥様の方には少し少な目までしか入れず

「大変申し訳ございません、ただいま豆を挽いておりまして、すぐにご用意できるかと存じますのでこのカップの分を飲まれましたらお声掛けいただけますか?」

大きなマグカップに入れれば解決したのですが、それでは奥様を逆に辱めることになるかもしれないし…。私なりに考えた、たった一つの方法がそれでした。

あとになって考えればもっと他に良い方法があったのかもしれませんが…

お二人は外を眺めながら時おり上品に微笑んだり会話をされたり…ただ他のお客様もおひとりすぐに来店されていたのではっきりとは覚えておりませんが。

 

15分くらいたって奥様が

「残りの分をいただけますか?」

と笑顔でおっしゃられたので残りの半カップ分をいれてお出ししました。それをブラックのままスッと飲まれてお二人は席を立たれました。

 

二人が帰られた後に私が見たもの…

お二人が帰られてテーブルを片づけにいった時にホットコーヒーでは使わないものがテーブルの上にあることに気が付きましたが、その原因はすぐに分かりました。というよりも思い出しました。

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奥様のソーサーがカタカタと言わないようにソーサーの下に紙のコースターをコッソリと敷いたのです。

(笑顔で帰ってもらえたからなんか嬉しい♪)

 

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と思いながらソーサーを片づけようとしたら…

 

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震える手で書いてくださった奥様からのメッセージ。。。

そういえばご主人もこちらを見てニコニコされていたので少し不思議には思っていたのですが…バレていたようです。

よく考えてみたら

奥様に半カップでコーヒーを出した瞬間に別の若いお客様がおひとりでご来店されコーヒーのご注文がありましたので、馬鹿な私はすぐにコーヒーを入れて通常通り出したり(豆挽いてるんじゃないのかよ!)、ソーサーの下にコースターを敷いたり。まったくアホ満載ですね(汗

 

だから接客業は楽しいのです

恥ずかしいような情けないような…。私の薄っぺらい思惑などはすべて分かった上で、甘んじて受け入れて下さっただけでなく、こんな素敵な宝物を与えてくださるお客様がいます。

忙しい時にはそんなことは無理ですが、よく見ていると気が付きがあり、それに対して自分が出来る権限の中で解決策に思いを巡らせることがあります。

怖いお客様や、心無いことを言われる方も多い時代ですが、私は改めて接客って楽しいなと思った瞬間でした。

普段はPCの前で文字の羅列を打っているだけだったり、メディアの人と話をしたり…直接お客様とかかわることは少ないのですが、私はそろそろそれでも良いと思っています。私の次の人がこのような宝物を受け取れるような人になってくれればそれでいい♪そしてその人がまた次の人に…。

大成功だと思っていた私の作戦は見事に見透かされていましたがw。それでもこんな素敵なお客様がいらっしゃるんですね♪

最高の宝物がひとつ増えました(^ ^ )♪

コメント

  1. 読んでいて清々しい気持ちになりました。両方に拍手。

    • ありがとうございます。相手の奥様がとても素晴らしいと感動しました^^

      何かをじっと見ていると、普段は見えてこない事に気がつけたりしますよね。
      そういう「気付き」をこれからも大切にしてゆけたらなと思います^^
      がんばります♪

  2. スマホをやめて、タブレットとフィーチャーフォンにした記事からこのエントリーに来ました。
    こうした気遣い一つにしても、行うには勇気のいるもの。
    勇気をもってそれを行ったtosさん。
    記事を読んで、日常の奇跡に出会ったような気持ちになりました。
    どうもありがとう。

    前述のスマホをやめた記事に、tosさんが本を読むこと書いてありました。
    このエントリーを読んで、tosさんの好きそうな本を思い出しました。
    「人生に必要な知恵は全て幼稚園の砂場で学んだ」
    ロバート・フルガム著

    古い本になってしまいましたが、素敵な本です。

    • luvxxさん
      コメントありがとうございます。そのようなお言葉光栄の極みです。
      自分のエントリーを改めて読み返すと赤面いたします。
      そして素敵な本の紹介までしていただきまして。
      さっそく読ませていただきます^^

      ありがとうございます。