ドイツ・ベルリンで開催されるIFAに合わせ、9月1日(現地時間)に記者会見を開催した影響もあり、巷(ちまた)ではSony Mobileから新しく発表されたXPERIA XZの情報を見かけることが増えてきました。なんと言っても今回のXPERIA XZのキャッチは
XPERIA Xシリーズ 初のフラッグシップモデル!
…
ほぇ?
XPERIA X Performanceはフラッグシップではなくただの派生機だった
私も勘違いをしていたのかもしれません、完全にXPERIA X Performance(以下XPERIA XP)は2016年のSonyのフラッグシップモデルだと思い込んでいました。ですが実はXPERIA XPはXシリーズで派生した機種に過ぎず、今回発表されたXPERIA XZこそが初めてのフラッグシップモデルなんだそうです。(知らなかった…
けれど、XPERIA XPが発売されたときあまりにも多くのメディアやブログが一斉に「Xシリーズのフラッグシップ機」という表現でXPを紹介していました。その証拠にXPが発売されて1か月が経過した時の開発関係者にインタビューした記事を読んでみましょう。
「Xperia X Performance」開発陣が語るコダワリ “百分の数ミリ”も見逃さないXperiaへの熱意
実際この記事を見てみると、XPERIAの開発担当者さんたちのこのような発言があります。
なぜ日本にはフラッグシップモデルだけ?
Q.グローバル向けには同じデザインコンセプトで「Xperia X Performance」「Xperia X」と「Xperia XA」の3モデルが発表されましたが、その中から「Xperia X Performance」のみを日本市場に投入した理由をお聞かせください。
A.染谷氏:どの地域にどの機種を投入するかは、地域戦略に基づいて決めています。日本では、ハイエンドのチップセットや防水性能を求められることから、最上位の「Xperia X Performance」をキャリアさまの製品として提供しています。
ふむふむ、記者が「なんでフラッグシップモデルのXPERIA XPだけが日本で販売されたの?」という質問に開発担当者の染谷さんという方が、日本ではハイエンドのXPこそが日本の市場にふさわしいと言われてますね。
…ん??
まぁ、ハイエンドであってフラッグシップとは…言ってないよね、うん。言ってない。
気を取り直して次の質問
Q.海外では6インチの「Xperia XA Ultra」のような大画面の端末も継続して提供していますが、日本では久しく見ていない気がします。
A.染谷氏:どの端末を提供するかは、キャリアさまとの話し合いにもよりますが、日本ではフラッグシップモデルを提供する方がお客様の満足度が大きい傾向にあります。とはいえ、大画面モデルについては、一部のお客様からご支持をいただいておりまして、ソニーらしい尖ったものが欲しい、という声もいただいております。そういったモデルを提供するチャンスを伺っているという状況です。
大型端末は今回もなし?という質問に対して開発担当者が大型も投入したいとは思っていますがフラッグシップの提供をした方が満足度が高いので!と言われています。
実際にXPERIA XPがフラッグシップだとは言っていませんが「日本でXPだけを投入するのはフラッグシップ(ハイエンド)が求められているから」ときっちり話しておられます。まぎれもなく発売してからもフラッグシップという立ち位置にいたのだと思われます。
6月24日のXP発売からたった80日の天下
XPERIA XPの発売開始から80日も経たないうちに「Xシリーズ初のフラッグシップ」と銘打って発表されたXPERIA XZ。あまりにも短すぎる天下です。たった80日間でフラッグシップだった端末がただの「Xシリーズの派生機」に格下げされ、フラッグシップであった事すら消されてしまったのは何か事情があるような気がしてなりません。
もしかするとXPがあまりにも不人気だったのか…、はたまた最初からXZの開発は進んでいたけれど、とりあえずXPを売りたいからフラッグシップと誤解させるような言い回しでそれっぽく装ったのか…。真偽のほどが公表されることはないでしょうが、おそらく後者だと思えて仕方がない今回の格下げ騒動。
XPを買った人の憤りだけでは済まない
XPERIA XPを買った人の中には「電池が全然持たない!なんだこの端末!」という、販売時に改善されたはずだった問題点が全然治っていないという怒りをあらわにする人も少なくありません。私はXPを購入はしていませんので実情は分かりませんが、私の周りのスマートフォンに詳しい人たちの多くの人がそういった不満を漏らしているのでまぁ間違いないのでしょう。
その中には『たった80日でフラッグシップから派生機になるとわかってたら買わなかった!』と憤りを憶えている人も多いのではないかと思います。しかし、今回の件はXPを買っていない人の心にも「SONYへの不信感」を植え付けたのは事実。次でてくるXZも果たして本当に最後までフラッグシップなんでしょうか?200円以内の期間限定スナックが販売期間が過ぎても売られているのとはワケが違うのです。約10万円を2年かけて払うわけですからこの不信感はとてつもなく大きな問題です。
よく考えてみてください。買ってすぐに「フラッグシップだと思ってた人ごめんねwww。アレただの派生機だよ?可愛そうだけどあと22か月払い続けてねwww」って鼻で笑われながら言われているようなものです。それは怒りますよね。
これが例えば「前回のXPを超えた究極のフラッグシップ機!XPERIA XZ!」なら良かったのです。しかしどうでしょう、今回SONYはフラッグシップであった事を消しました。やってることヤバいですよね。中学生でももう少し頭が回ります。
私の好きなSONYの開発18カ条
SONYと言えばウォークマンが有名です。この18カ条はウォークマンを生み出したチームが掲げていた言葉として有名な言葉ですので記載させていただきます。
ソニーの『開発18か条』
第1条:客の欲しがっているものではなく客のためになるものをつくれ
第2条:客の目線ではなく自分の目線でモノをつくれ
第3条:サイズやコストは可能性で決めるな。必要性・必然性で決めろ
第4条:市場は成熟しているかもしれないが商品は成熟などしていない
第5条:できない理由はできることの証拠だ。できない理由を解決すればよい
第6条:よいものを安く、より新しいものを早く
第7条:商品の弱点を解決すると新しい市場が生まれ、利点を改良すると今ある市場が広がる
第8条:絞った知恵の量だけ付加価値が得られる
第9条:企画の知恵に勝るコストダウンはない
第10条:後発での失敗は再起不能と思え
第11条:ものが売れないのは高いか悪いのかのどちらかだ
第12条:新しい種(商品)は育つ畑に蒔け
第13条:他社の動きを気にし始めるのは負けの始まりだ
第14条:可能と困難は可能のうち
第15条:無謀はいけないが多少の無理はさせろ、無理を通せば、発想が変わる
第16条:新しい技術は、必ず次の技術によって置き換わる宿命を持っている。それをまた自分の手でやってこそ技術屋冥利に尽きる。自分がやらなければ他社がやるだけのこと。商品のコストもまったく同じ
第17条:市場は調査するものではなく創造するものだ。世界初の商品を出すのに、調査のしようがないし、調査してもあてにならない
第18条:不幸にして意気地のない上司についたときは新しいアイデアは上司に黙って、まず、ものをつくれ
Zシリーズは完成した、次はXシリーズだ!と言ってXシリーズの展開を始めて、たったの80日でフラッグシップにまた「Z」の冠を入れるのにこだわったSONYには、もはやこの18カ条の信念は私には微塵も感じられません。フラッグシップを装って市場に投入し、たった80日で派生機扱いにして次のXZの宣伝だけに没頭してしまっておられる気がしてなりません。
さいごに
SONYと言えば世界に誇れる日本企業。私もXPERIAは大好きです。しかし、今から考えてみればSonyEricsson時代のXPERIAは好きでしたが、SONYに変わってからは消去法で選んだXPERIAだったと言われたら否定できません。
つぎのXPERIA XZがどれほど素晴らしい端末なのか…と興味もわかなくなってしまう今回のXPへの扱いに正直ウンザリです。
それでもまだXPERIAが嫌いになったわけではないので期待している自分もいます。
SONYさん、ワクワクさせてくださいよ。楽しみにしています。
コメント
「Xperia X」を出すとき、地域やオペレーター(キャリア)の要求があり、2つに分け、「X」と「X Performance」を導入しました。
http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/event/ifa2016/1018329.html
キャリアの要求らしいです。
このインタビューは読みましたが
XP開発者:「3種の中でもフラッグシップのXPが日本向けだと感じて投入した」
XZ開発者:「XPとXZはかぶっているスペックも多く(XPを)フラッグシップだと誤解された方も多いかもしれないがXZだけがフラッグシップ」
としか聞こえてこないんですよ。。。
発表で天下が変わるのであればXP発表の2月22日から180日は天下では(それでも短いですが)
天下(フラッグシップ)の日数についていえばそうですね^^
ただまぁ、本文を読んでいただいたらお分かりかと思いますが、私が問題視したのは「格下げ」が公然と行われたことについてなんです^^
「発売日まではフラッグシップで発売される予定」の状態と考えたので発売日からの起算で考えました♪
私は2/22の発表の時にXPはスーパーミッドレンジという表記をされていたのを目にしました。
なのでXPは見送った派なのですが、どこからフラッグシップと勘違いされたのでしょうか?
この記事でもスーパーミッドと表現してます↓
http://juggly.cn/archives/176913.html
どちらかというとX performanceをフラッグシップと呼びたくない、Zの後継としたくないということをSONY側が一環して仄めかしていたように思います。
それでもX perfomanceが最上位機種であったのは事実だし、その期間を発表日で数えるなら一番短かかったのはZ4でX performanceはやや長いくらいではないでしょうか。
心情的には発売日というよりも自分が買ってからの日数が短かいと悶々としてしまうというのは理解はできますが、それでSONYの方針を批判するのは無茶でしょう。
今回XZ,XZP,XAが発表されてやっと世の中のスペックに追いついて来た感じはしますね。
今まではカメラの性能上げてみました〜。
CPU変えてみました〜。
ってな感じでちまちましてましたがやっと、カメラ、画質、メモリ、容量、わかりやすく顧客が注目する点を改善して来ました。
ソニーの18ヶ条ありましたが正直私は参考にしようとは思いません。
私が企画部にいたとして私が欲しいものは確かに性能のいいものでしかないです。
RAM6G、容量256G、microSD二枚させる。
なんてのが一番の理想です。
でも売る側からすると段階を踏んで売る、あるいはヨチヨチ歩きしてから実力を出すなんてこともできるわけです。
そうすると18ヶ条の自分が欲しい物を作れと言うのに違反しています。
矛盾が生じるので私は正しいとは思えませんでした。
市場を見つつ、自分たちの会社がどれだけの技術を発揮できるのか見極めることが大切だと思います。
音質だけ、カメラだけ、なんてのに囚われるのではなく、常に一歩前を目指すことが大切。
ある意味中国の企業は日本が見習うべきです。
他人の物を盗んででも再現、或いは超えたものを作り、実はこのくらいはできると言うようなぐらいまで性能を惜しみなく搭載させる。
本当にどの機種にも負けないものを出すとしたら参考にしないといけない。
必要な部分だけ参考に。
スパイウェアやウイルスを機種に紛れ込ませるなんてのはやっちゃいけないですからね。
まあ今回一応飛躍的な進歩を見せて近年のソニーに対する[何か足りない]と言うものが目立たない機種になったと思います。
これからまたヨチヨチ歩きに戻るのか、はたまた貯めて来た余力を見せるのか注目するところですね。